私はこのブログ上にて第一部を『グラマラス』と評しました。それにならって第二部をあえて『センシティヴ』とするならば、第三部は『エモーショナル』。ずばりこれです。
そんなわけで、エゥーゴの面々(と彼らに感化された人)が繰り広げる“理屈を超えた情愛”劇の数々に目が潤むこと複数。特にヘンケン艦長と「ラーディッシュ」クルーたちの決断にはね… もうバカじゃないのかなと。その場にノれたブリッジメンバーはまだいいよ。でもそこにいない乗組員たちは頭にくると思うぞ? でもね
感動した。「撃墜されるのに!」と目をみはっていたエマ中尉のあふれんばかりの複雑な想いにあっさり共感させられてしまう。サラ(キャスト交代かー でも確かに正直今回の人の方がいいね)の都合のよすぎる女の子のキモチ論理にしてもね。ああ、そういう感情のブレってあるよねと。惚れはせずともそこまで想われればなんらかの親切は返したくなる。それがサラなりの女の義侠心。…そう考えてるとそういう感情の表現すらできなかったレコアさんがなんだか可哀想だー
レコアさんといえば、そういえば彼女の顔の骨格ってカミーユのおっかさんにちょっと似てるよね。第一部で捕虜となったレコアを救うことで母親の死を目撃したトラウマをとりあえず乗り越えたカミーユは、第三部でそのレコアを失い、ファという恋人を得ることでいよいよ少年期を終えることが完了されたような気がする。“父殺し”ならぬ“母殺し”の物語だったのかもしれない。
以下、思い付く限りに萌えポイント。
・第一部では明確で、第二部でさらにTV版に寄らせて大きく絵柄調整がなされた新規カット部分、今回は実にその差異が目立たない。すごいね。
・ハマーン様ほせぇぇぇ!! 新規カット、この人の部分多いよね。
・クワダン衛兵はそろって脇あますぎ。儀礼的すぎるんですかね、あの艦の雰囲気。でも終盤でハマーンの指示を聞こうと周囲に集まる姿には、彼女のカリスマ性とともになにやらあの集団に流れるアットホームなものを感じた。
・ケーキをねだる大尉たんと素で返事するファ。
・ブラックジョークを口にするジャミトフ。オヤジギャグなような回避してるような微妙なセンスだぜ!
・あいかわらずひとりで反抗的生徒気分のカツと彼さえ抱え込むかのような最強保母さんファの包容力。
・シロッコの島田敏さんの演技は今回でようやく違和感が消えてTV版当時と同じハマり具合に聞こえました。
・リアルおこちゃま声となったミネバ様、バイオリンお稽古時が一番あどけなくて可愛かった。あの子、成人した後はどうなったんでしょうね。
・バスクの女の趣味はおふくろさん的ふっくら女性。おっとりした感じ。
・「お調子者が…!!」「一瞬気絶してました」あやうく場違いに笑い出しかかった。クサさギリギリの極限芝居を見せた後でのこういった中和させるかのようなギャグスレスレ台詞がよく入ったような。
・メカ描写では、カツを追ってアクシズ側に潜入したカミーユがZガンダムで逃げるときのフォームチェンジが一番印象に残りました。
・セイラさんが出たことよりもフラウとベルがアムロを挟んで同じ場にいたことに驚いた。あとキッカの台詞はあとからじわじわ効いてくる。
・ミライさんが地域住民に無視される、なぜここで入るかタイミングをつかみかねる連邦忌避の描写。そういう渋いの大好き。
・入ってる! 入ってないけどこれは入ってるんでしょ!!!
そして最後に美味しいところをもっていくのがサエグサ・オンステージというこの驚愕。
派手な戦闘描写/ややあざとくすら感じられるエロティック風味/全体の味をととのえる適度なコミカル会話劇 と劇場作品に一般的に求められる要素がすべて入っている快作でありました。いやほんと。気持ち良く映画館を出ることができました。
ところで、精神崩壊しなかったカミーユとともに、カツもまたTV版とくらべて“救済”されてますよね。そこにすごく感銘を受けてました。だってあの困ったちゃんが、エゥーゴのみなさんに強いインパクトを与え(て戦局を大きく変化させ)るんですよ。なんて優しいメンバーなんだろな、あの人たち。