2006年05月13日

ゼーガペイン#6「幻体」

理解はしていても、感情として現実を受け入れたがらないキョウに向かってシズノはとうとう明言する。この世界にはすでに実体をもった人間はいないのだと。誰もが、そして全てがサーバーに記憶されたデータに過ぎない。(じゃあ『どちらかが現実なら、必ずもう片方は虚構なのよ』という台詞は作劇上のブラフ? いや、廃墟の地上は少なくとも現実なのか。地上にかつての意味での生命が存在しないとしたら、セレブラムが何のために戦っているかは現在の価値観ではこれまた理解しづらそう)

…うすうす分かっていたことも、キャラクターの口から聞けるといよいよすっきりと頭に入った気分になれますね。完全に自律思考して生体と同等に複雑な感情活動を行える“データ”という想像上の技術進化の道筋を飲み込めさえできれば。まあSF小説においてはそれなりに定番の設定だから、とりあえずは「そんなこともあり得るかもね!」で思考停止しておいていいかな、と… ただ、かつては実体を持っていたデータ人間とAIの違いが今度は分からなくなるけど。思考における主体性のレベルの違い、なのかな。さて、あと明かされてないのはガルズオルムと呼称される敵の実態と目的ですかね。最近はやたら設定上の謎をひきのばす番組が目に付く中で、わりかし早いタイミングで重要な答えが提示されたことは、潔くてうれしいです。セレブラントの描写割合が高くマイナーチェンジされたOP、キョウの感情のテンポに見事に合わせた本編の演出、そしてタイアップ曲「リトルグッバイ」のさりげなくも効果的な宣伝も兼ねていたかのように雰囲気をなめらかに繋いだEDパート導入など、全体構成も細心の注意が払われていました。夕方の街の、初夏にしかないさわやかな空気感がたまらないですね。10代の頃の透明な気持ちをおだやかに喚起される…

で、この作品はつまりアニメキャラが自分を『まわりは分かってないけど、俺は知ってる。俺たちがアニメキャラだということを』って言ってるアニメだという感じなんでしょうかな。


あのー。キョウの名字「ソゴル」なんですけど。どこかで聞いた響きだなーと思ってたら、どうも『時をかける少女』の原作におけるヒロイン和子が出会って恋に落ちる未来人少年の名前が「ケン・ソゴル」らしいですね。もしかしたら展開にちょっと関係あるかもと思いつつ記述。
posted by 三和土 at 03:13| Comment(0) | TrackBack(0) | アニメ/TV番組感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする