それは別として、今回のトビの台詞にてはっきりしたように時間軸上の「現在」はラクリマ時空の窮余の策として干渉を受けた結果の、カラスやフクロウが通過してきた「過去」とは限りなく近似値であるけれど異なる時空である(このあたりは卵が先か鶏が先か、でややこしい。深く考えると混乱する)、と。誰かの認識を受けた“過去”は、すでにして“実際の過去”とは違うものであるという繊細な視点が、物語の背後に透けて見えてくるようです。ひとが追憶にふける時、そこにあるのは“あらかじめ失われた過去”なんですね。ノスタルジーはその意味で二重に切ない。
まあ、一番言いたいことは、今回はコサギ、アマミク、アイ、ハルカといった女性キャラの描写が特によかったということなんだけど。女性脚本家(浅川美也氏)の本領発揮といった感じでしょうか。