今回のターゲットである看護士は地味でふつうでしかも若いのによく出来た職業人の娘さん。どこをとっても人に恨みをかう部分がありません。でも、得てして理不尽な凶悪犯罪の被害者となってしまうのもこのタイプの割合が多いのかもしれないと報道番組を見ていてよく感じます。殺人事件というのは本質的に“殺され損”なんだと思う。…で、これまではそういった法律上で救われない想いを救済する存在として地獄少女が描かれ、つぐみの認識もそういったものだった。けれど今回の依頼はまったくの身勝手な恨みであり、あいの「この恨み、地獄へ流します」という宣告も声が震えていたように聞こえた。(…ん、でもあいは道理の通らない依頼は黙殺という形で断ったりもするんじゃなかったっけ?) そして次号、いよいよ柴田家とあいとの因縁が語られるそうで。仙太郎ちゃん、あんた地獄少女の何なのさ?
ところでつぐみの背後をジャンボ機が飛び立っていくカットの繰り返しが印象的でしたね。それまでの認識が序々に移り変わっていくとき、世界の色合いは微妙にかわっていく。そのとき構図の動かなさがことさらに虚しく感じられるものです。