2006年10月15日

シュヴァリエ#9「愛人たち」

複数のブラフが仕込まれているなかなかに洒落た回でした。中間エピソードとして退屈になりがちなところを、女帝エリザヴェータの重層的なキャラクターを活かすことでストーリーのスムーズな進展とテーマ性の追求とを両立させている。あと、台詞の端にてちょこちょこと今まで知らされなかった設定(カリオ&ロレンはイタリア人なのね)が明かされていたのもサービス感あるなと思った。

ボロンゾフが貴族出身であり、体制変革を目指す女帝の以前の同志であったと意外な過去が語られたついでという感じで、マクシミリアンがかつてリアと行動をともにしていた時期があったとさらっと明かされたわけだけど、この世界では彼も貴族出身という設定なのかな。公式サイトのキャラ紹介によれば『謎の騎士』とされているし(まあ平民が取り立てられて騎士身分を得ることもあったんだろうけど)。テラゴリーは今回のボロたん引っかけ作戦において、捕縛しようとするデュランをわざわざ制止したことで彼の疑念を得た模様。リア殺し犯人ミステリー、引っ張ってますなあ〜

ところでデオンは公式には王の密使として外国を訪れているけど、私的、あるいは隠れた理由としてはリアを殺した犯人の捜査と、それによって生前の姉の真の姿を探ることを目的としている。そこで思い出すのは「姉のいた夏、いない夏」というアメリカ映画です。こちらは妹が、明るく美人で賢かった姉が外国で死んだ状況を知ろうとする内容なんだけど、知っているようで実はしっかり知ることの少ない肉親の客観的な像を探り当てて、既存の自分の殻を破る試みというのは虚構作品のテーマにも往々にしてなりやすいようですね。
posted by 三和土 at 07:18| Comment(4) | TrackBack(0) | アニメ/TV番組感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
 今回は色々と悪名高きエリザヴェータの愛人たちをあのように描くとは思いませんでした。
 てっきり扉を開けた向こうにはあの御仁がいるのかとばかり思っていたものですから。
 当時の時代を描く描写は今回のロシア宰相の最後の台詞でしょうか?
 欧州の文化が幅を利かせた後は、今度は反動でロシアのナショナリズムが勃興する。
 その繰り返しともいうべきロシアの法則を彼の発言は裏打ちしていたように思えます。
 印象に残った場面は血塗られた剣を持つボロンゾフのあの台詞でしょうか?
 次回で彼がエリザヴェータを裏切った理由を知りたく思います。
 それと史実と遊離していくシュヴァリエ・ワールドではロベスピエールも実在の彼と同一人物かも知れませんが、もしかしたら彼が倒された後に彼の遺志を受け継ぐ象徴としてロベスピエールの名を冠した男が実在の有名なあの御仁となるのではないか、と妄想もしております。
 
追伸 
 三和土様でしたか。御名前を間違えて大変失礼致しました。お詫び致します。
 また前回、勘違いでエカテリーナ嬢の夫をピョートル二世と書きましたが三世の誤りでした。
 重ねてお詫び致します。
 
Posted by 猫 at 2006年10月16日 21:44
(HNの件はどうぞお気になさらず。見間違えやすい字面であることは経験上呑み込んでおりますので〜)

ヨーロッパの宮殿では既婚してから愛人を持つのが当たり前だったとはよく目にしますが、そういった時代背景を大胆にアレンジして、目下の同志たちを『愛人』とカモフラージュしていたという今回のオチ、時代考証的にはあるいは「うーん」となるかもしれませんが、個人的には好みな感じです。女傑エリザヴェータ、という印象で。

>欧州の文化が幅を利かせた

19世紀のロシア小説などで知ったのですが、ロシアの貴族においてはフランス語をたしなんで、宮廷ではそれを用いる慣習だったそうですね。ベストゥーシェフ(名前違ってるかも)の苛立ちにもそういった背景があったのかも、とおぼろげに思いました。しかし史実と同じく(最近、このアニメのネタ元と思われる『女装の剣士 シュヴァリエ・デオン』読んでます)シベリア送り。あの歳で極寒の地へ送られるのはなんかかわいそう… 彼も国を案じていたには違いないというふうに演出付けられてたせいでついそう感じてしまいます。

それにしても、ボロンゾフにも若き頃があったんだな〜と思わせられるような、今回急激にキャラ付けにロマンス風味が入ってましたね(笑) 彼もまた、私欲ではない純粋な革命の志を持っていそうな雰囲気。

>もしかしたら彼が倒された後に彼の遺志を受け継ぐ象徴としてロベスピエールの名を冠した男が実在の有名なあの御仁となるのではないか、と妄想もしております。

それ、かっこいいです。燃えるです。そしてもしかしてその名を継ぐのは平民出身の清廉な少年、その名はロbi(以下略
Posted by 三和土 at 2006年10月16日 23:14
「愛人」とはてっきりあの意味だと思っていました。愛人が同志を指すなんて・・やられたって感じのオチでした(笑)
実際女帝の愛人=同志でもあった、と聞いたことがありますがどうなんでしょうね?

ボロンゾフが実はいい人だった(?)と知ってオドロキでした。ボロンゾフもまだ裏がありそうな気が・・・

そしてロベピー(すみません、普段私はロベスピエールのことをこう呼ぶので)が詩人だったなんて。しかも「神が女帝の血を欲している」ですよ〜耽美なロベピーが少々オカルトぽく見えましたわ(笑)

「女装の剣士〜」は私も最近読みました。
窪田氏の書くデオンはちょっと気の強い感じで、意固地なとこなんて人間臭くてすんごい好きです(笑)実際の彼もああだったのかとても興味があります〜〜
・・・アニメデオンがいい子すぎる反動でしょうか?(いやそれも好きなんだけど・爆)
本読んで墓参りしたい衝動にかられました^^
Posted by mayu at 2006年10月18日 12:27
>「愛人」とはてっきり

このアニメ、男女の色気のあるシーンがこれまでほとんどまったくない(カリオ&ロレンのとこだけ?)といって過言でないんですよね。そこが物足りなくもあるなあと最近感じてきました。そういう意味でも、マクシミリアンはたらしキャラの側面も持っていてほしいのですが(笑)

マクシミリアン(『ロベピー』かわいいですね(笑)仲間内の愛称として劇中でも使われたらいいかも)は今回、かつてリアと行動をともにしたこともあり、なおかつ詩人でもあるという事が明らかになって、ますます混沌としてまいりました。同じ境遇らしいボロンゾフの運命は、今のロシア編でなにかしら決着がつきそうですが、ボロとマクの行く末はきっと全く別の種類のものとされそうですしね。マクシミリアンの動きはまったく予想できないのが面白いです。

「女装の剣士 シュヴァリエ・デオンの生涯」読み終わりました(簡単な感想は別ブログで書くつもりです)。このネタ本から、よくアニメ版のデオンのキャラを作り出したなあと感嘆いたしました(笑) 肖像画ひとつにしても、実際にはふっくらしたタイプに見えますし。実在のデオンの不遇の連続の生涯には哀れさを感じましたが、救いだったのが最期を看取る人が居たということです。独特の愛嬌がある人だったんでしょうね、きっと。
Posted by 三和土 at 2006年10月18日 17:14
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


この記事へのトラックバック
×

この広告は90日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。