味方に裏切りを疑われることを厭わないマクシミリアンの目指す先の読めなさ、肌に焼き印された機密局員の証を見つめながら尋問と内面の揺らぎに耐えるデュランの決意が根ざすもの、自分で選んだ運命を受け入れつつも救いを求めているかのような王妃の行く末、そして自分の魂を待つ先をついに知ったデオンの動揺。革命教団が国民議会を確立したイギリスをふたたび専制君主制に戻したり、ヨーロッパに戦役をもたらすことで何を目指している(まあたぶんヨーロッパ統一王国として支配したいんだろうけど)のかが主幹ミステリー部分ですが、キャラクター個々が抱える内側の問題の描き方それぞれの絡み合いがなめらかでテーマ的にも破綻してないんで安心して楽しめます。
・いちおうホワイトヘッド卿の死をリアの遠隔能力のせいと思わせた(サンドウィッチ伯は仁義に厚そうな漢キャラみたい)マクシミリアン。でもやっぱり(というか当然)疑われたし、本人も別に言い通すつもりはなかった模様。微妙になげやり感がいい味出てる。次回は教主さまからどんなお仕置きを受けるのか…ゴクリ
・ゲルシイは自分の中に残っていた騎士道の名残を惜しみつつもやはり状況の流れ(王夫妻がカルトどっぷりなイギリスヤバス)に身をまかせる。一足早い現代人、ってなキャラですね、この人。なんか気持ちすごく伝わるわー
・焼き印の印象のせいか、デュランは昔は荒れた若者だったような気がする。処刑レベルのことやらかして、それを免れるためにエージェントやらされる事になったとか、そういう感じを想像させられました。しかし隻腕、痛々しい。
・メアリー=シャロットの孤独もまたひしひしと。境遇が同じリアと語り合いたいという欲求は純にして切実なものだと感じられる演出でした。姉の魂の器となる決意をした妹は、国のためでもあり、またジョージ三世を慕っていたというのも本当なんでしょうね。しかし自我が分裂しながらも融解するという気持ちはいかほどの混乱なのだろう…
台詞で状況が流れる方向性を示す傾向はシリーズ通して色濃いのだけど、要点はいちおうまとめられてるので決定的にわからなくなるということはないですね。今回も、イギリスとフランスの間に戦争(やはり七年戦争前夜っぽいなあ)が起こりそうであり、イギリス議会制は転覆の危機にあるという二点さえつかんでおけばOKな気がする。
決して面白くない事は無く、特にゲルシーの描写は印象的でした。
しかし、彼はマクシミリアンとサンドイッチ伯爵と以前から通じていたのか? それともいきなりマクシミリアンが現れたのか分かりませんが、後者の場合、色々と葛藤があるようですが結果を見る限りは実にのりの良い方です。
そんなゲルシーの葛藤を描いた前半は見入ったのですが、後半のメアリーの秘密に携わった人物にリアも含まれていたのが、今までそういうものとは縁の無い光の場所に居たと思われていた生前の彼女に少し狂気じみた暗いものを感じたからかもしれません。
しかし、確かに仰るとおりオカルトにどっぷりと為政者が浸ったイギリスは危なすぎますね。
教主も何を考えているのか?
しかしマクシミリアン召還命令は彼が自身への死刑サインをしたように思えたのは私だけでしょうか?
追伸
ホワイトヘッド卿を悼むサンドイッチ伯爵はこの物語の死者を大切にするコンセプトをまた感じさせてくれましたが、やはり三和土様やmayu様の仰るように出来れば教主の目であり相応の実力を持っていた彼にはもっとその力の絶大さをデオン達に痛感させる程の活躍をしてから死んで欲しかったものです
>後半のメアリーの秘密に携わった人物にリアも含まれていた
私も思わずエントリ中で触れ忘れたんですけど、リアがそこまで詩人の技に手を染めていたことにデオンをもっと驚かせるべきシーンだったかもしれないですね。たとえ潜入捜査をやっていたにすぎない可能性はあるとはいえ。
今回はまだまだ矯め部分だったのかもしれません。あるいは次回はさらに盛り上がるのかも…マクシミリアン(あえてここで自ら肉体の死に向かう狙いだったら凄い展開ですね。震えきそう)とブラックウッド卿の対峙に期待したいです。あと二日〜
ホワイトヘッド卿というキャラはもっと特殊能力を描写できる旨味があったはずですよね、やっぱり。思うに2クールというのは作品内にふくらみを持たせるには少々短すぎるのかと。だといって4クールだとシノプシス展開にダレがみえたりするので、3クールがベストなんではないかとよく考えたりしてます。