2006年12月25日

「攻殻機動隊 S.A.C. Solid State Society」

'06/監督:神山健治/制作:Production I.G

企画当初は劇場公開も視野に入れていたこともあってなのか、作画端正度や画面密度がTVシリーズ時よりも高めでした。特に冒頭での高層ビル上にいる素子からカメラが引いていくシーンにおける夜景の奥行き感が圧巻。


「トグサが新人やボーマたちに指示出してる…」「なんかバトーとトグサの印象違う?(髪短くなってた)」といったちらほらと見える違和感の根源が、本編幕開けからけっこう経ってようやく劇中会話にて明かされる。やはりというか素子は二年前になるクゼの一件の後に身の振り方を考えてか9課から離れており、その後釜としてトグサが隊長の座に着いた(バトーはオファーを辞退したとのこと)。これはちょっとしたサプライズでした。原作から思いきってステップ踏んだなあと思った。中でもトグサが義体化に踏み切ってなおかつ妻に職務を打ち明けたというのがなかなか衝撃的。キャラに貼り付けられていたラベルの記述が一新されたという…

今回のメインモチーフは少子化問題。ちなみに同じく中心に近い位置に用いられていた「貴腐老人」(段々しなびていく貴腐葡萄から転じて)のネーミングがいかにも本シリーズらしいアイロニー。なお、出生率低下の弊害といっても為政者の都合としての“納税者が減っていく”という即物的なものではなく、現象の原因にさかのぼって「個のポテンシャルの低下」を危惧するという視点が『傀儡廻し』という仕掛け役の動機となっていたのはこれまた“らしい”テイスト。神山節を堪能いたしました。

全体の構造としては、設定を巧く活かした見せ場が複数あって客を飽きさせないように配慮されている点がハリウッド映画的に感じられました。終幕も“めでたしめでたし”方式だったし。
posted by 三和土 at 00:07| Comment(0) | TrackBack(0) | アニメ/TV番組感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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