全体的にテンポがゆったりとしていてやや退屈な部分もなくもないけど、ヒロインが招かれた先の寝所に皇后が訪ねてきてからは自然に引き込まれた。幼い少年を間に置いての立場のまったく異なる二人の女性の、表面上は礼儀にのっとりつつも水面下では真剣勝負の丁々発止な言葉のやりとり。そしてしめくくりは皇后の問いに答えて、バルサが心に決めたつぐないの最後をやり遂げようとしていることが明かされる。
美しく緻密な背景描写で世界観を端的に示して、練られ縒り合わされた脚本と演出のコンビネーションで物語の発端に説得力を付し、そして定評ある作画力でアニメーションとしての醍醐味を魅せる。とはいえケレン味の薄さがなきにしもあらずだけど、それさえカバーされているかのような堅実な初回でした。それにしてもチャグム皇子は放映前に持ってた印象よりずっといとけない。「もうあなたは皇子ではなくなった」と母から現実を告げられて流浪の身となった少年は、果たしてどこに自分の居場所をみつけるのだろう。
ところで星読みの学者が白髪ロンゲの美形で見るからに怪しいのが笑える。このあたりのノーガードぶりもI.Gらしいよねー