それと良かったのがラストシーンで希紗が未来の自分自身に携帯電話からメールを打つ、『一人だけど独りじゃない』(おそらくこのアニメが究極的に言いたいこと)という文言のクローズアップ。口に出すとそらぞらしいけど演出で上手くカバーされているという好例。
理恵子は「協調性」という言葉を持ち出して成基に無神経さを指摘される。成基や希紗のように自分独自の世界を内面に持つ者にとっては『被膜』は薄すぎるし、また厚すぎるといえるのではないかな。『被膜』を常に意識しつつもお互い触れあうもっと良い方法を模索しなければカタストロフが近くなる。それは自然と人間、あるいは個人同士でも同様なのだと思う。
理恵子は根が素直な性格だけに、成基や希紗への気遣いが空回りに終わっているのが切ないですな。でも彼女のそんな一方通行ぶりも、成基の余裕のなさにも、それぞれに年齢や状況といった裏付けがなされていて自然に納得できるドラマづくり。成基と希紗が幼なじみといった関係以外にも精神指向面での同胞関係にあることもさりげなく示されたし、理恵子の自爆っぷりから彼女が正樹に感じる苛立ちが同族嫌悪に近いものであることも想像が届く。
ところで回を追う毎に須河原がイタい人になってる件。いろいろと焦るお年頃なんでしょうなあ。美佳姉がやたら彼女の周辺に絡んでくる(地域的有名人とはいえ『すかわら』って呼び捨ててるし)のも似たような背景を感じる。彼女もおそらく都会の一人暮らしで奮闘していることでしょう。
メモ:はなさんは理恵子の血縁関係ではないとのこと。公式サイトの人物紹介文は担当者の誤認だったらしい。とすると、希紗たち幼なじみ組を見守るほぼ公平なオブザーバー役ということになりますな。