論文調のテキストのいくつかは抽象化されすぎててワカリマセンでしたが、神山監督本人の発言が読める対談や往復書簡、作品のモチーフそのものに接近したコラムなどはなかなか面白く読めました。
最終回のアフレコの際に、素子役の田中敦子氏と神山監督が軽くディスカッションして、監督の方から「じゃあそういうニュアンスのセリフに変更しましょうか」と持ちかけた(が、結局シナリオの含意のままで演じることになったそうだが)というくだりが強く記憶に残った。キャスト陣の積極的な姿勢はインタビュー映像からも伝わっていたけど、まさか演出にまで関わっていたなんて。あまり、他のアニメではないことなんでは?
あと、エウレカセブンを引き合いに出してる箇所が特集中でいくつかあったのが印象的。確かに脚本家は何人か重なっているけど、手法が似ているとはあまり思ってなかったし。…というかもしかしてエウレカって一応現代風潮にコミットしてるという演出法なの?
ところで2ndGIG終盤でゴウダが放った衝撃セリフ「かくいう私も童貞でね」に関して綴られたエッセイ(『二〇三〇年の童貞たち』夏一葉 )を読んで悟ったけど、童貞ってSACにおいては重要概念だよね。いや真面目に。自分の中の精神童貞くささと真正面から向き合っているという点においてはアオイもゴウダもクゼも、そして神山監督自身も通底しているのでは… そんなSACが、もちろん私も大好きです。