2005年11月30日

蟲師#3「柔らかい角」

私が中学生だった頃までは、ここ北陸の平野部でも真冬には今回エピソードの舞台ほどに雪が積もっていたのですよ。水分をじっとりと含んで「根雪」となり、たまにある晴天の陽射しにもなかなか融けてゆかない。そんな存在感のある冬がかつては毎年巡ってきていました。

新雪の処女地に、両腕を広げて背中から倒れ込む。羽虫のように舞う雪とその背景の灰白色のフラットな空を見上げながら、耳の周囲は雪の壁に閉ざされていて、そこで“聴いた”音は。

真火(お祖母ちゃん村長、超美老婆だよね。原作の時からそう思ってました)の母親は夫に先立たれたんだと思うんだけど。そして真火もまた両親にひとり取り残された自分の境遇にはかなさを覚えてたはず。「阿」の虫は、宿主の生命力と競って生き残ろうとする生態を持つ。過去の幸福の記憶への未練にとらわれすぎた心を、引き戻せるものがあるとすればそれは自らが内包する“身体性”への回帰。母親は死ぬ間際に真火にそれを伝えたと。言葉の内容をなかなか思い出せなかったのは「阿」の間接的な妨害かな。

…ところで二組4本の角が生えちゃったメカニズムへの言及ってあったっけ?
posted by 三和土 at 05:38| Comment(0) | TrackBack(0) | アニメ/TV番組感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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