2004年06月20日

「水鏡綺譚」(近藤ようこ/青林工藝社 刊)

出版社内データへのリンク

評判がわりと良いのか、私が購入したものはすでに第二刷だった(発行日付は5/31)。近藤氏の中世日本ものはガロで連載されていた「身毒丸」やちくま文庫に入っている「説経 小栗判官」で馴染んでおり、すぐに買うことを決めた一冊。少女漫画誌の月刊ASUKAで連載が不人気のため打ち切られた後、ながらく執筆中断および刊行絶版となっていた作品が最終章を描き下ろされてあらためて単行本出版されたという。その経緯自体にもなかなかに心動かされる。

各エピソードでのゲストキャラの身の振り方やオチの付け方の基本姿勢は仏教説話からの換骨奪胎で構成されている(有名なオタク系サイト黒書刊行会にて『もう一つの犬夜叉』と評されていたのは非常に腑に落ちた。本書の帯文句は高橋留美子氏が登場しているけど、近藤氏とはたしか大学が一緒だったんだっけか)が、隠しテーマとなっているのは女性の自立、女性像から自立する男性のような気がする。いずれにせよ、読後感がとても爽やかでいで切ない。夏の終わりの夕方の風にさらされているような。にしてもヒロインの鏡子のなんと魔的に愛らしいことか。魂のない少女の美しさ。髪型のせいもあってか『人魚』シリーズの真魚にも印象が通じている。
posted by 三和土 at 20:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 漫画媒体感想(更新終了) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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