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ミヒャエル・エンデ 著/丘沢静也 訳/岩波書店 刊(同時代ライブラリー)
10年ほど前に買った新書版。一部モチーフやキャラクター名(迷宮をさまよう犠牲者にして支配者『ホル』)を借用している(と勝手に私は推測している)TVアニメ「忘却の旋律」の視聴に刺激されて読み直してみた。過去にも2度ほど通読しているが、いつ読んでも脳内に結ぶイメージが非常に鮮やか。そういった意味からも特異な傑作だと思う。訳文も言う事がないほどに適切に感じる。一言でいえばシュールレアリスム文学。しかし世界観に生硬さはなく、むしろ柔軟かつ取っ付きやすい連作小説になっているあたり、作者エンデの人柄をしのばされて好感が持てる。そして例によってテーマの一つに経済優先社会としての現代への批判が入っている。“迷宮”に生きる絶望。でも、すでに今いる場所が“迷宮”なのだとすれば別に恐るに足りない。ただ、変化への希望を捨て去らないようにだけ、気を付ければいい。この作品にて顔を出す砂を噛むようなペシミズムは、しかしどれを取っても一筋の救いが残されているような気がするのは、単なる私の思い込みだろうか。
2004年07月08日
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