2005年05月29日

「アリーテ姫」('00/監督:片渕須直)

騎士(揃いもそろってロクデナシに描かれてるのがやっぱり斬新)が王女への求婚条件のために探索してきた“妖精が中で踊るクリスタル”が妙なる音色とともに光を発しながら回るシーンの美しさは、劇場で見た際の印象の強さには当然ながら及ばず。それでも夜の10時から、この教育的に見えながらもなかなかに渋いアニメ映画を放映してくれたNHK-BSハイビジョンチャンネルにはお礼を言いたい。

えーと、二度目に見てあらためて思ったけど、アリーテ姫が自分の来歴を自らの言葉で紡ぎ出してからの展開に、やや“おいてけぼり感”を持つ。自己イメージを自分自身が規定する、その強さの意味が、それまでの展開においてさほど浮かび出ていない(父王がまるで傀儡人形のようになってしまった経緯を軽く見せてあったらよかったかも)せいに思えるわけで。それと世間に出たアリーテのその後の苦難(中世ヨーロッパ風の世界設定なんですよ?)を想像すると、見ているこちらの方がおそろしくなってしまうんだよなあ… あまりにも手放しで自由な身分を賞賛しすぎというか。どこに待ち受けているか分からないトラブルを想像して恐れを見せる表情を付けたり、あるいはアンプルの村でしばらく過ごしてみる(あ、もちろん「金色の鳥」の探索のあとで。)というオチでもよかったような。

状況設定には光るものがあるのに、寓意面とのリンクがいまひとつ巧くいってないような、そんなもどかしさがある映画であるように私見する。…もっともそんなものは飾りですというアプローチが取られている“なんちゃって教育アニメ映画”であることも気付いてるつもりでもあるんだけど。質感にすぐれた映像の美しさやゆったりとしてどこかフェティッシュでもある-なぜかボックスとグロベルがまずそうな食事を汚らしく口に入れていくシーンがエロティックにすら感じるんですが、私だけ?-動作演出だけで、十分にお腹いっぱいになれる。その点だけで、何度も見るに値するアニメ作品になってるのもまた事実かと。
posted by 三和土 at 10:35| Comment(0) | TrackBack(1) | 映画鑑賞メモ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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片渕須直 -アリーテ姫-
Excerpt: 間違いなく、娯楽作品では ないだろう。 すごく地味なアニメ、「アリーテ姫 」 どうやら、観る人を選ぶ作品のひとつだろう。 ぐぅちゅえんは、どうやら、この作品に 共鳴共感できる人では無かっ..
Weblog: ぐぅちゅえんの見たり読んだり
Tracked: 2006-01-03 14:04
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