一言で印象を評すれば『グラマラス』。神経症的にディスコミュニケーションが基調だったTVシリーズ版とくらべてぐっと登場人物たちへの感情移入がストレートにできる。台詞の一つ一つに体温が感じられるようで、新作画部分の柔らかい表情の付け方とともに魅惑的だった。メカアクションも同様に有機的な感触が増しており、TVシリーズの素材を主要に用いていながらこうまで印象に差異がでるかと驚かされる。連邦政府内で傲岸不遜凶悪非道に采配をふるうエリート軍組織・ティターンズに込められた寓意が放映当時よりも現在の方がより具体的に感じられることも含めて、今の時代に『新訳』しようとした富野監督の意図は脱トミノ信者化した私にもビンビン伝わってきました。構成に隙がない(カミーユが起こした決定的な一悶着の経緯と結果を逆に置いているあたりトリッキーながらなめらか)ためか、さほど自分にフェティッシュなマニア性が薄いためなのか、個人的には新旧作画のギャップはほとんど気になりませんでしたし。むしろ、新作部分が思っていたより多いのに驚いた。
男性キャラももちろん厚みを増していた(ブラン・ブルターク、出番少ないのに印象強ぇー 整備員とのやりとりがなんかいい)けど、女性キャラが本当に魅力的でしたね。レコアやエマ、あとフラウが心ここにあらずなアムロに複雑な気持ちで涙を浮かべるシーンなんて、TV版との違いが明らか。物語の渦中にある人の苦悩とは別に、入り込めない人の切なさも同時に描かれており、こういったささやかな味付けが映画の格調を高めるのだなとか思ったりもします。
それにしても、わざわざデフォルトの長手袋を脱いで美少年へのセクハラ(監督コメントによると『逆襲のシャア』におけるナナイに甘えるシーンに対応する描写らしいですが、正直よく分からない(笑))に待機する金髪の人ってば… すばらしい。20年前も好きだったけどもっと好きになった。続く第二部、第三部で加速していくへたれっぷりを想像しただけで息が荒くなりそうです。
あ、あとEDクレジットと第二部予告を繋ぐ形で奥から手前にズームインしてくるフォウとベルトーチカの立ち姿(フォウがちらっと足を動かす-組み直す?-のがいい!)はいまだ網膜に焼き付いております。論理性なテキスト的でもあり、絵画性のイラスト的でもあり…とにかく凄いトミノチックですよね、あのアイディア!!
2005年06月26日
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